熱田千華子作品集
時事通信社 世界週報 2002年1月1日号
第16回: アジア系
from Ako  to Ako 
Japanese-Americans feel a special responsibility to raise this question and speak loudly on it.
「日系アメリカ人はこの疑問を投げかけ、声高に語る責任を感じています」


アメリカに住んで3カ所目の新しい職場で、初めて白人以外の同僚に出会った。職場はインターネット関連業で、インド人と韓国系アメリカ人のエンジニアたちがいる。ヨーロッパの人と一緒に働いたことはあるが、いわゆるアジア系の人と働くのは初めてだ。自分で驚くほど、親近感を抱く。

昨年行われたセンサス(国勢調査)結果を米国商務省国政調査部のサイトで見ると、人種をWhite persons 「白人」、Black or African American persons 「黒人またはアフリカ系アメリカ人」、Persons of Hispanic or Latino origin 「ヒスパニックまたはラテン系」、Asian persons 「アジア系」、American Indian and Alaska Native persons「アメリカおよびアラスカ州原住民」、Native Hawaiian and Other Pacific Islander 「ハワイおよび他の太平洋諸島の原住民」、Persons reporting some other race, Persons reporting two or more races 「その他の人種、または2つ以上の人種混合」に分けている。このうちアジア系は米国人口全体の3.6%を占める。

マサチューセッツのアジア系住民は全国平均より少し大目の3.8%。私が最近まで住んでいた市は住民の99%が白人だった。アジア系は非常に珍しく、私を凝視したまま自転車で通り過ぎた中年の男性が、壁に激突して横転したこともある。

車を45分運転しボストンに行くと話は違う。中華街がありスシバーがあふれ、MIT「マサチューセッツ工科大」はアジア系の学生ばかり。こんなボストンでも嫌なことはある。アイリッシュ系の祭りである聖パトリックデーのパレードを見ていたら、「ゴーホーム」と叫ばれたし、イタリア人街でアパートを探したら、「白人オンリー」と断られた。アジア系といっても私は日本国籍の外国人だが、ここで育った日系アメリカ人だったらどう思っただろう。


*この続きは書籍『イースト・コースト インターネット暮らし』(新風舎)でお楽しみください。

(時事通信社 世界週報連載『熱田千華子のあめりかインターネット暮らし』より)