熱田千華子作品集
時事通信社 世界週報 2003年12月16日号
第64回: 葬儀事情
 
“Light a candle: Write your thought and memories. ”
「キャンドルをともしましょう。あなたの気持ちと思い出を書いてください」


友人のランディーはニュージャージー州出身。両親の知り合いが亡くなったが、仕事の関係で葬儀に参列できなかった。「驚いたんだけど、最近はEメールでお悔やみの言葉を遺族に送れるんだよ」と、ランディーは関心することしきり。この知り合いの葬儀を担当した葬儀社によるサービスらしい。

そこで同州にあるこの会社のサイトへ行った。コンスタンティーノ葬儀社という。Condolence Mail 「お悔やみメール」のページへ行くとこうあった。Many times when a death occurs, parts of the family or close friends are unable to attend the services for a loved one. Today, the Internet can be utilized to overcome that barrier and it can easily and conveniently put families and friends in touch. 「誰かが亡くなったとき、家族や友人が葬儀に参列できない場合がよくあります。今や、インターネットはその障害を取り除き、家族や友人を近くに感じさせることができます」とあった。このページから、故人の家族名、自分の名前を入力、メッセージを送ることができる。同サイトを見て回った。サイトのホームページの下の方に、Recent Obituaries「最近の死亡告知」があり、同社で葬儀が予定されている故人の名前が並んでいる。そのうちの1人、Francis Egan of Stratford, NJ 「ニュージャージー州ストラットフォート、フランシス・イーガン氏」をクリックすると、Beloved「最愛」と大きく書かれた下に、アルバム風のページがあって、イーガン氏の遺影があった。その下に住所、死亡日時、年齢、出身地、生年月日、葬儀の場所と日時などの情報が並ぶ。遺影をクリックすると別のウィンドウが開き、存命時の写真がスライドショーで次々と出てきた。孫らに囲まれる場面、奥さんとのダンス風景、イタリア旅行、若いときに赤ん坊を抱いている場面など大量の写真が出てくる。全く知らない人だが、見ているうちに私までしんみりしてきた。

匿名メッセージには刑事罰

その横には、Light a candle: Write your thought and memories. 「キャンドルをともしましょう。あなたの気持ちと思い出を書いてください」とあり、メッセージが残せるようになっている。お悔やみメールと違うのは、同サイト上で誰もがメッセージを見られる、掲示板形式であることだ。例えば、同氏が無くなってから2日後にトレーシーさんという人から次のメッセージが残されていた。


*この続きは書籍『イースト・コースト インターネット暮らし』(新風舎)でお楽しみください。

(時事通信社 世界週報連載『熱田千華子のあめりかインターネット暮らし』より)