「これらの子供たちを見掛けませんでしたか」
同僚のリンには7歳の息子と5歳の娘がいる。オフィスで話していると、彼女のコンピューターの画面の右下に見慣れない赤いアイコンが点滅している。リンに聞くと、AMBER Alert 「アンバーアラート」といって、地域で子供が行方不明になった時に、警察が出す情報をインターネットで受信するシステムだと言う。
リンはアイコンをクリック。緑のウィンドーが開く。Current Alert 「現在の警報」、Alerts「警報リスト」の2つのページが並ぶ。現在の警報のページにはNo New Alerts This Time「現時点で新しい警報はありません」というメッセージがあった。リンによると、この地域で子供が行方不明になると警察が関連情報を次々に発表。アンバーアラートのネットワークを通じこのウインドーに情報が掲載されるらしい。警報リストのページには発表内容、日時、ステータスが保存されるようになっていた。
私がリンと話している間には、新しい行方不明情報は来なかった。リンによると週に1本は警戒情報が届くという。「ノイローゼになる気はないけれど、幼い子供がいる親の責任ね」。
アンバーアラートを主催するのは、非営利の民間団体The National Center for Missing & Exploited Children (NCMEC) 「行方不明や虐待された子供たちのための全国組織」。同団体のサイトにあるアンバーアラートの説明によると、1996年にテキサス州で9歳の女の子、アンバー・ハガーマンちゃんが誘拐殺害された事件をきっかけに、警察、行政府、メディアが一体となって、子供の行方不明情報を共有、防犯に努めるシステムが同州でつくられた。同団体の主導と各種企業のスポンサーで、このシステムづくりが各州に広がり、現在では30州以上で実施されている。ブッシュ大統領は最近、アンバーアラートを連邦政府基部で取り上げる計画を発表したばかりだ。
70人の子供を救助
サイトによると、アンバーアラート導入によって全米で約70人の子供たちが救助されたという。
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(時事通信社 世界週報連載『熱田千華子のあめりかインターネット暮らし』より)