熱田千華子作品集
時事通信社 世界週報 2003年2月25日号
第44回: 401k
 
“We are sorry to report that this savings strategy has resulted in the depletion of your savings. ”
「残念ながら、この貯蓄戦略だと貯蓄を使い果たします」


アメリカで会社勤めをしていると、401kという企業年金制度に加入できる場合がある。私は渡米6年で、今勤務する会社は3社目。最初の会社以外の2社では401kをオファーされたので加入してきた。将来展望ゼロの私だが、この先アメリカに住み続けたと想定した場合、公的年金だけでは生活できないと聞いている。そのため万一に備え私的年金を蓄えなくては。

日本でも最近、日本版401kが導入されたと聞く。だから、わざわざ私が説明することもないだろうが、簡単に言うと401kは運用成績しだいで受け取り額が変わる確定拠出型年金ということ。社員それぞれが給与のうちの希望する割合を積み立て、企業側は一定の割合の上乗せ、いわゆるマッチング拠出をする。途中で引き出すとペナルティーが生じ、自己責任で運用するために怖い面もある。例えば、最近のエンロン事件では、401kを通して自社株に投資していた従業員がたくさんいたが、エンロン倒産で彼らの401k口座がカラッポになり、仕事を失うわ、老後の蓄えはなくなるわと悲惨な状況を迎えている。

会社によって全く違うのだろうが、私が今勤務している会社では年に2回加入できる時期があり、半年以上勤務している正社員のうち希望者が加入する。社の人事部が送付してきた401kへの応募書類を見てみると、Pretax Contribution Election「課税前積み立て額選択」という項目があり、I hereby authorize and direct the Company, under the terms of the Plan, to reduce my pay by the percent I have indicated. 「私は、年金プランの規則にしたがって、指示したパーセントを給与から天引きすることを会社に委任、命令します」と書かれた後に、私が希望するパーセントを書き込む。さらに、Investment Election of Future Contributions 「積み立て金額の将来の投資選択」の項目が続く。様々な会社の18種類の投資運用商品が列挙されており、幾つ選んでもいい。希望のAllocation「 配分」の割合をパーセンテージで指定、合計100%にする。このフォームに署名して提出すると、雇用主指定の会社に口座が開かれ、天引きとマッチングが始まる。私の勤務する会社では、会社側は私の給与の3%をマッチング拠出している。


*この続きは書籍『イースト・コースト インターネット暮らし』(新風舎)でお楽しみください。

(時事通信社 世界週報連載『熱田千華子のあめりかインターネット暮らし』より)