熱田千華子作品集
時事通信社 世界週報 2001年10月23日号
第11回: 反戦
 
“War is terrorism, magnified a hundred times.”
「戦争こそ、百倍にも拡大されたテロリズムなのだ」


9月11日のテロ攻撃以降、公共の建物、商店、レストラン、住宅、アパートなどあらゆる場所で星条旗を見る。車は旗を風になびかせ通り過ぎる。近所に住む車椅子のおじさんも大きな旗を車輪にくくりつけた。旗の下には“God Bless America” 「アメリカに神の恵みを」、“We Stand Together”「共にささえ合おう」、“No Retreat No Surrender” 「退却降伏許すまじ」といった標語がよく書かれている。

テロ以降、町を歩いていて「君はアメリカ人か」と、これまで受けたことのない質問を何人かにされた。そうでなければ今回の惨事を悲しむ権利がないかのように、ブッシュ大統領は戦争宣言をした。戦争を人をナショナリスティックにする、とつくづく思う。

9月22日付のニューズ・ウィーク誌の調査では、ブッシュ大統領の支持率は86%、テロリストとその協力国に対する軍事攻撃の支持率は71%に上っている。高い数字だが、もちろんアメリカ人全員ではない。9月29日には首都ワシントンで大規模な反戦デモがあった。”No War No Racism” 「戦争反対、人種差別反対」などと書かれたプラカードを掲げ数千人が行進した。

友人のシビルからeメールが転送されてきた。サンフランシスコの男性が起草した戦争反対陳情メールで、宛名はブッシュ大統領。メールの文面をコピーし、最後に自分の名前を書いて友人に回す。友人に送りたくなければ直接大統領へ送る。インターネットを使った署名キャンペーンで、文面は次の通りだ。

“President Bush, We the undersigned encourage you to take responsible, peaceful action in bringing the terrorists to justice. Please seriously consider the negative ramifications of continued killing and perpetuating the cycle of violence. Although many lives have already been lost, MANY MORE CAN STILL BE SAVES.” 「ブッシュ大統領、以下に署名した我々は今回のテロリストに捌きを与えるに際して、大統領が責任ある平和的な行動をお取りになるよう要望します。さらなる殺戮と暴力が続かないようご考慮ください。多くの命が既に失われましたが、より多くの命がまだ救えるのです」

そこで私も署名して、大統領のアドレス(president@whitehouse.gov)に直接送った。


*この続きは書籍『イースト・コースト インターネット暮らし』(新風舎)でお楽しみください。

(時事通信社 世界週報 連載『熱田千華子のあめりかインターネット暮らし』より)